11/16/2009

MacのSSD事情



ここ10年ぐらい 個人的に(Local) Storage Device動向を追っている。

速度のパフォーマンスが必要な理由から、15000rpmのハードディスクやらRAM Diskやら使ってきたが、Solid State Drive (SSD)は速度と容量とコストを考えた時に、自分の中では久々のBreakthroughであった。

そんなSSDが、ようやく現実的な容量で普及し始めたので興味を持ち始めた方々も多いと思い、ここベイエリアで割と楽に手に入るSSDでベンチマークしてみた。


SSDの豆知識

 まず、はじめにSSDの説明を軽くしておこう。ここではコスト的にMLC SSDに絞って話を進める。SSDのメーカーには色々あるが、内部的には

* フラッシュメモリ・コントローラ
* キャッシュ用DRAM
* NANDフラッシュメモリ

の部品が重要だが、性能を左右するのはフラッシュメモリ・コントローラである。そのコントローラでカテゴライズすると、

* Indilinx系
* Intel系
* Samsung系
* JMicron系
* 東芝系

といった感じに大別される。

JMicronは、USB-SATAコントローラーなどいろいろ手がけているが、2年ほど前にSSDがPCパーツとして出来た黎明期のコントローラ・メーカとして有名になった。

しかし、JMicron JMF602チップの「プチフリーズ(通称:プチフリ)」と呼ばれる致命的な問題で、悪名高きSSDコントローラ・メーカとしてレッテルを貼られ、現在汚名返上ステージである。

一方Samsungは、もともとVAIO や MacBookAirのSSDモデルのパーツを供給しており、若干のプチフリ現象がありつつも、JMicronほどはひどくなかったため人気はあったが、ドライブ単体パーツとしては手に入りずらかった。

その「プチフリ」問題を解消することが一部マニアの間で熱望されたタイミングで出て来たのがIndilinxとIntelだった。

東芝も2009年始めのCESで製品発表をしながら、パーツ市場に製品が出て来たのはここ数週間の話である。

現在、Appleストアでカスタマイズして内蔵されるSSDはSamsung製か東芝製のどちらかである。両者とも信頼性とパフォーマンスといったバランスを考えると、可もなく不可もなくといったところだ。

ここベイエリアで現在パーツとしてSSDを手に入れるためには、ローカルの店としてFry'sかCentral Computer Systems、もしくは通販だが、Google Product Searchで出てくる店で在庫している店は意外と少ない。日本の秋葉はやはり品揃え豊富で懐かしくなる。


ベンチマーク結果

早速ベンチマークを取ってみた。



パフォーマンスを追求するということで、光学ドライブは外し、代わりに2.5inchデバイスを内蔵出来るマウンタを使用している。

ベンチマークを取った環境は以下の通り。

--------------------
XBench 1.3
MacBookPro 5.2
Memory 4GB
OS 10.5.8 (9L31a)
--------------------

Intel x2台, x4台のみ以下の環境
--------------------
Mac Pro 1.1
Memory 9GB
OS 10.6.1 (10B504)
--------------------



Fig. 1 : SSD比較 

( グラフは暖色系が書込み、寒色系が読込み、それぞれ薄い色が4k、濃い方が256k 、クリックで拡大)

一番上のSuperTalent製FTM20GK25Hは約一年前の製品で、例のプチフリJMF602チップである。ランダム書き込み(4k)が他に比べて極端に遅いのがプチフリの原因だ。

このベンチマークではわからない項目として、コンスタントにどれ位の速度が出続けるかというのも重要なのだが、Intelが強い。その他のIntelの特徴として、ランダム書込み(4k)が際立って優秀である。他のSSDはどれも10MB/sなのに対して6倍ほど出ている。現在、Intel製のSSDは製造プロセスが50nmの第一世代G1と、34nmの第二世代G2の両方が市場に出回っているが、もちろんG2の方が性能がよいので、購入する際はご注意を。

次に、Frysなどで簡単に手に入るPatriotのTorqxは、コントローラはIndilinxのIDX22(Barefoot)でOCZのVertexとほぼ同じである。ただ、総容量の違いで速度に違いが出ている。多いほど良いのは、IntelもIndilinx系も共通のようだ。

ベンチマークから分かるように、Indilinx系250GBはシーケンシャル読み書きに強いが、別の検証をすると、コンスタントにこの速度が出るわけではなく平均すると数字は下がる。



Fig. 2 : SSDとハードディスクの比較

次に、「SSDなんて高ぇよー。HDDで十分だ。」という人のためにHDDとの比較をw
現在、2.5inchで速度を求めるとすればSeagate製の7200回転ドライブ、容量を求めるとすればWesternDigital製の640GBになるのだが、それらと比較したグラフがFig.2である。3.5inchの1TB越えHDDならシーケンシャルで100MB/sぐらい出るのだが、2.5nchだと70MB/sぐらい。ランダム(4k)に関しては、まさにハードディスクの弱点である。



Fig. 3 : SSD単体 と RAID 0の比較

私はMacBookProに内蔵させるために、必然的に2.5inch x 2 が 内蔵限界なのだが、興味本位で3.5inchエンクロージャに2.5inchを2台収容でき、RAIDコントローラを内蔵のステキ(だと思った)Patriotから出ている製品も試した。結果から言うと、SiliconImage社製の廉価版RAIDコントローラを使用しているせいか、読込みに関しては単体使用時より遅くなり、ランダム書込(4k)が若干改善するが、Intelドライブ単体にもほど遠いので、結局却下(笑)




で、Disk UtilityによるソフトRAID 0 (ストライプサイズ:32k)のデータが集まったので比較。ソフトRAIDのせいもあり、全ての項目がリニアに増えるわけではないが、MacPro上のIntel SSD2台、4台の数字は驚異的。
(Special Thanks : naan studio,Inc.

体感的な個人的指標の一つとして、アプリ起動時にDockのアイコンが何回跳ねるか(笑)があるが、もう何回とかいうレベルではなく、SSDでRAID組んだらアイコンが跳ねる頂点に行く前にはアプリが立ち上がる。

総評

検証結果を私的経験も踏まえてまとめると、普段、ブラウザやOffice系アプリをメインで使うなら Intel SSDがオススメである。やはりランダム書込(4k)が際立って優秀なのと、読込みに関してもコンスタントに速い。現在のIntel SSDの容量は160GBが最大なので、光学ドライブを外してHDDを補助で入れるのもありだろう。このSSD+HDDハイブリッド構成が、コストとパフォーマンスのバランス的にはベストのように思える。本体の起動時間もHDDの半分程度の30秒前後だった。

もし、FinalCutやLogicのようなクリエイティブ系アプリをメインで使用するなら、シーケンシャル読み書きが優秀なIndilinx系を選ぶといいだろう。こちらも本体の起動時間はIntel系と変わらず30秒前後。

現在、私のMBPはIndilinx系のVertex 250GB 2台のRAID0で落ち着いている。アプリの起動含め、全てがキビキビ動いて快適である。唯一、本体起動に関してはソフトRAIDということもあり単体よりも遅いが、それでもHDD単体よりは速い。

あと、想定はしていたが予想外に快適な要因が2つ。パームレスト部分がHDDほど熱くならないのと、音が全くしない。普段使用する分にはCPUのファンも低回転で 環境の暗騒音の方がむしろ大きいので本体から全く音が聞こえてこない。いかにHDDの回転音が大きかったかを再認識した。

もう、HDDには戻れないw


続きを読む...

10/12/2009

最近のサウンド技術(Time Exp/Comp)

JTPAのギークサロンに御来場いただいた皆様、ありがとうございました。

テンポのプラマイ10%が、商用クオリティで許されるクオリティかどうか半信半疑の方も多かったので、デモをアップしておきます。


サウンド・プロセッシング技術は年々向上しており、音程を保ったまま時間を長くしたり(Time Expansion)、短くしたりする (TIme Compression)技術は現在の音楽制作、映像制作でかかせないものになっています。

ギークサロンでお話したように、ゲーム開発、映像関連では音楽制作は全体の行程の中で後ろになりがちです。臨場感を出したり、演出の効果を最大限にするためにはどうしてもタイミングを合わせる必要があるため、何も決まってない状態から音を作るのは難しいという理由があります。

またスケジュールの都合上、絵が出てきてからサウンドをすべて仕上げるまでの期間もそれほど余裕が無い場合がほとんどです。声優のセリフや、ボーカル、ギター、ドラム、サックス、ピアノ等々、プロの生演奏を入れたい場合はアーティストの予定を調整したり、収録スタジオをブッキングしたりと、一回収録するだけでもなかなか手間がかかります。

そこへ「ごめん、尺(長さ)変わっちゃったんだよねー」
と言われることも頻繁にあります。

また、過去の例でこんなこともありました。ある海外アーティストのアルバムのマスタリング作業中、収録する曲のうち1曲だけ、どうしても他の曲とのテンポのバランスがとれないから、1曲丸ごとテンポ変更したいとディレクターが言い出しましたが、もしそれを実現しようとすると海外のレーベルと連絡をとり、作家、アーティストとテンポを変更するため収録をやりなおす交渉をしたり、その再制作の期間を調整したりする必要があり、なかなか時間がかかるものなのです。しかも、最近のマスタリング作業は発売1ヶ月前にギリギリ行われるなんてのはザラなので、もしその1曲のテンポを変更するとしたら確実に発売延期=レコード会社的にはあってはならない事故になります。

そこで、私が担当した際に、一般的に世の中に出すクオリティと、そのアルバムの他の収録曲との音質バランスを考え、「これぐらいまでなら変更できる」とマスタリング作業中に2mix(最終的に1曲になっているデータ)に対して、テンポ修正、その修正でアラが出たところを手作業で細かく修正し、事なきを得たという苦労話がありました。

このように、現代の音楽制作ではかかせなくなっているテンポ変更のサウンドプロセッシング+修正を施したテストデータをお聞きください。(テストに使用している曲は以前私がプロデュースしたアーティストの曲で、公開の都合上 mp3-Stereo256kbps-Mono128kbpsに圧縮してあります。また、再生にはQuickTime が必要です。)

 ボーカル(オリジナル・ピッチ)

普通はテンポを変更すると、カセットテープ(古っ!)のように音程も
 このように上がってしまったり、

 このように下がってしまいます。


それをうまく処理すると、以下のようになります。
 ボーカル(テンポだけ10%速くした版)


 ボーカル(テンポだけ10%遅くした版)


次に、Time Expansionの影響をわかりやすくするため、極端に倍の長さ(テンポだけ50%遅くした版)にしてみました。

何も考えずに、その辺のありきたりな方法で普通に処理すると
 このようにロボットボイスみたいな感じになってしまいますが、


上のプラマイ10%の例と同じようにうまく処理すると
 こんな感じになり

前者よりは、かなりマシだと思います。さすがに2倍に引き延ばしてるので無理がありますが(笑)

さすがに楽曲の2mixに対してプラマイ10%のTime Comp/Expはキツいのですが、あえて実験ということでデータをのせておきます。

 オリジナル・ピッチ *1

 テンポだけ10%アップ

 テンポだけ10%ダウン


いかがでしょうか。ボーカルのみなら、おそらく大半の方が音質の低下は許容範囲に収まっていると感じていただけたと思います。

私が過去手がけたリミックス作品で、最大18%程度テンポを下げたものもありました。本来なら歌い直ししてもらいたかったのですが、スケジュールの都合上、ボーカルのみサウンドプロセッシングで切り抜けました。

原曲は現代風のアップテンポw な感じですが、私は80年代のサウンドを再現しようとBPM(Beat Per Minute)を157から130まで落としました。

 原曲(BPM = 157)*2

 リミックス(BPM = 130)*3



これはほんの一例ですが、また機会があれば様々なサウンド技術について、説明したいと思います。


* このポストに含まれる楽曲およびサウンドデータの著作権は、このブログのCreativeCommonsライセンスとは独立して管理されておりますので転載はご遠慮ください。

*1 (p) style-jam
*2 (p) delta srl
*3 (p) avex entertainment inc.




続きを読む...

9/17/2009

10月のJTPA ギークサロン

2009年10月9日にギークサロンのホストを務めさせていただくことになりました。

トピックは「ゲーム・携帯関連のサウンド技術について」(仮題)

ゲーム開発のサウンドに限らず、一般的な音楽制作現場の機材、フォーマット、技術などについて裏話を交えながら語りたいと思っています。

みなさんの興味動向に合わせて、ある程度アジャイルに進める予定です。

お時間のある方は、ぜひいらしてくださいね。
続きを読む...

9/16/2009

いろいろ整理中

以前書いていたブログやサイトの記事をBloggerにまとめ中。日付はその当時のもの。こうやって振り返ると月日が経つのも早いですね。
続きを読む...

2/07/2009

飛行機の中での面白い出来事



なかなか面白い出来事に遭遇したので、書いてみる。



今週はアメリカに戻る週。日本での仕事もほぼ終えてサンフランシスコ
行きの飛行機の準備を待つためラウンジでくつろぎ中。

昨年はほとんど空の上にいるんじゃねーの、ってくらい飛行機乗ったので、
ステータスだけ上がり、成田空港のラウンジが使えます。

ラウンジの窓からはこれから乗る747が見えます。
これからこの747上で、なかなか味わえない出来事に遭遇するとは
夢にも思わなかったですよ。



これが事件の舞台となる見取り図。

ちなみに1〜2列目がファーストで、すぐ後ろの3列目から
ビジネスクラス。 矢印のところから乗客は乗り込みます。

今回は貯まったマイルでビジネスにアップグレード。

しかもファーストクラスの後ろのゾーン、3列目のシートをゲット!

隣もいなくて快適な空の旅の予定。。。 だった。。。。。


俺はルンルン気分で座席に向かうと、何やら声が聞こえる。

俺が座ろうとしている席のうしろに、CA(キャビン・アテンダント)
を怒鳴りつけてる客がいる。

「オレを誰だと思ってるんだ!!!」

知らないですよ、と思いつつ、俺は怒鳴りつけてるオヤジの前の席に座る。。。

「オレ様は年間10回以上このサンフラン便に乗っているんだぞ!!」

CAはきっと、「あなた以上に乗っているお客様も多数おりますが。」
と言いたかっただろう。

「もう乗らねー!ANAには次からもう乗らねーぞ。」

と言い切っていたが、どうなんでしょう。

友人から、「ビジネスにはたまに変な客いるから気をつけてね」と
言われていたので、このことだったか、と思ったが、それを上回る
輩がいなすった!

いやー、気付かなかったですよ、最初は。

後ろのオヤジのオレ様発言に気を取られて。

その輩は一席離れた横にいた!

そいつはチンピラ風の客、ジョニーとでも呼ぼう。

ジョニーは我が物顔でファーストの席とビジネスの席を行ったり来たり
している。肩で風を切りながら。狭い機内なのに。

よく見ると、ジョニーの後ろにはCAが付いてなだめている。

「ここ空いてるからここでよくね?」とか言いつつ、ビジネスのはずなのに、
ファーストに座ろうとしている。

「お客様、こちらはあいにく……」

よくよく状況を観察してみる。

ジョニーをAとしよう。で、ツレの女B、ジョニーの舎弟Cの3人で今回は旅行
するっぽい。

しかし、取っている席は、ファースト1席とビジネス2席。

最初、女Bが一人でファーストに座っていたが、離れ離れになったジョニーAが、
「何でオレが野郎と二人で座んなきゃいけねーんだ!」と憤慨。

「アニキ、じゃあオレ、姉さんと代わりますよ。」とファーストに座っていた女B
と代わって、舎弟Cがファーストに座る。しかし。。。

「何でお前一人がファーストなんだ。馬鹿やろう!」

うん、なかなか空気の読めない舎弟だ。

舎弟Cが一人でファーストってのも気に食わないらしい。当たり前だよなー。

かといって、ジョニーが一人でファーストに座っても、舎弟Cと女Bが一緒に
いるのも気に入らないのだろう。

みなさん、ご察しのように、ファースト1席分のチケットで3人とも
ファーストに乗ろうとゴネているのだ。

ゴネてる最中、ファーストには誰も座らず、ビジネスの真ん中に3人
座ってその両隣にCAが片ひざついてジョニーAと舎弟Cのワケわからん
理屈を聞いている。

せっかくいい席取れたと思ったら、横はチンピラ・ジョニー、後ろは
ゴネごねオヤジ。

初めてですよ、機上で、しかもサラウンドでゴネリングを聞くのは。

で、トイレに行くふりをして、CAの方に向かう俺。

「まだ続きそうですかね?」と聞くと、

「心中お察しします。確実に!まだしばらく続きますので、お好きな席に
移ってください。荷物は私達が移します。」と。

「確実に」というあたり、おそらくブラックリスト常連な客なのだろう。
CAが4人ぐらい集まって相談してた。

好きな席にってことだったので、オレもファーストにと言おうとしたが、
さらに面倒くさいことになりそうだったので、フツーにビジネスの後ろ
の方にしました。

私がCAさんの心中をお察ししました。

飛行機の旅も、いろいろあって楽しい。

続きを読む...

1/22/2009

ビックリマンにビックリ



昨年の夏に実家に帰ったときのこと。


いつも田舎に帰っても、親が住んでいる新しい家の方に泊まる。

自分が高校まで過ごしたその部屋は、自営業の工場の2階で、
今、親が住んでいる所から車で5分ほどの所にある。

昨年、10数年ぶりにそこに行ってみた。周りは開発でなくなった
建物、新しく出来た道路などでパッと見は変わったけど、面影は残っている。

そして、俺は自分が18年間過ごした自分の部屋に続く階段を上り、
きっとクモの巣とかで汚れているのかと、恐る恐るドアを開けた。

その部屋は、まるで時間が止まったかのようにそのまま状態で残っていた。
想像と違うあまりのキレイさに拍子抜けしたが、同時に忘れかけていた
様々な記憶が駆け巡る。

そして、 祖父に買ってもらった学習机の引き出しを開けると、ゲーム
ウォッチやら 高橋名人の連射測定ガジェット「シュウォッチ(だっけ?)」、
バスケ部で使ってた マイボール、ビックリマンのシールなどが出てきた。

懐かしさが、こみ上げてくる。この部屋もいつ取り壊されるかわからない
から、 思い出になりそうなものをいくつか手元に残したいと思い、東京に
持ってきた。

で、先日、そのビックリマンのシールを入れたアルバムを都内の某所に
持ち込んだ。

200枚ぐらいあるから数千円ぐらいなればいいかなと。

査定のためしばし待つオレ。

「えー、お客様のこのシールは悪魔、お守りとかは全部まとめて500円
だったらお引取りできますがー」

愕然とするオレ。やっぱそうだよなー。

俺はシールをB4のアルバムに挟んでいたのだが、
「悪魔とお守りじゃなくて、こっちもあるんですがー」

店員がしげしげと見つめる。

いやー、始祖ジュラとかヘラクライストとかなかなかレアじゃねーの?
と思いつつ、 店員はフツーにパス。

しかーし!店員がある1枚のところでピタッと手を止めた。

しかも、今まで素手でシールを触ってたくせに、白い手袋をどこから
ともなく取り出した。

「最初っから付けろよー。」とは言いませんでしたが、何か店員の
目つきが鋭い。

まるで女の子を漁っているギラついた10代の目だ。

で、その店員が「しばらくお待ちください」と言い残し、店の奥に
行ってどこかに電話しはじめた。

「はい、え、はい、特にスリ傷もなく、え、えー、カドも欠けてません。
私も久々なもので手が震えてるのですが、95点ぐらいは付けられます。
え、えー、はい、はい。わかりました。」

お前、会話全部聞こえてんだけどさー。悪魔とお守りシール査定している
ときと態度180度違うじゃん。

何かを期待させる会話が思いっきり聞こえてんだよねー。

これで500円とか言ってみろ? 3階の売店の隣の部屋に閉じ込めるからな!
若芽の記事になっても知らねーぞ?

「えー、お待たせしました。お客様のこのヘッドシールはですねー」

どうでもいいヘッドから値段と状態の説明をし始める店員。

「あ、ハイハイ。」
俺は話を聞いているフリをしながら、片手に持った携帯でヤフオク相場を
チェックする。

ヤフオクによると、結構いい値段だ。

で、俺のは?

「全部で、ン万7500円」

ちなみに例の1枚が「ン万7千円」で、残りザコキャラ全部で500円!(笑)

直接金額書くのもアレなので、みなさんの妄想を膨らませてください。

まあ、20年近くたってもビックリマンに翻弄されるとは。

続きを読む...